なぜエース営業が新規開拓で失敗するのか?
20年のベテラン営業・佐藤さんは既存顧客から絶大な信頼を得ていました。しかし新規開拓チームのリーダーに任命された途端、まったく成果が出なくなってしまいました。
3ヶ月後の結果は衝撃的でした。「今月も新規受注、ゼロです…」。あれほど顧客の心を掴むのが得意だった彼が、なぜ新規顧客には通用しないのでしょうか?
「誠実さ」が通用しない残酷な現実
佐藤さんは従来通り、誠実に真摯に新規顧客と向き合おうとしました。何度も足を運び、丁寧に会社紹介をする。関係性ができれば道は開ける—20年間信じてきた成功法則でした。
しかし新規顧客の反応は冷たいものでした。「何度も来ていただかなくて結構です。御社は私たちの課題をどう解決してくれるんですか?」「結論からお願いします。お忙しいので」
長年培ってきた自信とプライドは、ガラスのように砕け散りました。
営業は一つの競技ではない!3つの決定的な違い
戦う場所が違う
既存顧客:「関係性の土俵」でホームグラウンド戦
新規開拓:「提案力のリング」で完全アウェイ戦
時間の流れが違う
既存顧客:マラソンのような長期戦
新規開拓:100m走のような短期決戦
評価される人間性が違う
既存顧客:「第三印象の誠実さ」
新規開拓:「第一印象のキレ」
経営者がまず取るべき一歩とは?
あなたの会社のエースは「マラソンランナー」ですか?「100mランナー」ですか?佐藤さんはマラソンの名ランナーでしたが、100m走の型を教わることなく、いきなりフィールドに放り込まれてしまったのです。
経営者の最初の一歩は「気合が足りない!」と叱咤激励することではありません。営業担当者一人ひとりが本当はどちらの型の選手なのかを見極めることです。
新規開拓という新しい競技には、新しいルールとスキルが必要なのです。